コーヒー片手に心の旅へ。人気カフェメニューの特徴紹介と発祥地巡り

コロナを境に私たちの暮らしは大きく変わってしまいましたが、そんな新しい生活にも馴染みつつある今日この頃。それでもやはり、以前のような自由な暮らしが恋しくなる時がありますよね。

海外旅行もそのひとつだと思います。最近になってやっと再開され始めたので、制限なしの自由な旅にはまだ少し時間がかかりそうなものの、今後が楽しみです。

以前訪れたあの国、これから行きたいと思っていたあの国、その国の風景や文化、フードの数々。気がつくと、心はすでに旅に出ていませんか?私たちのまわりには海外から取り入れられたものがたくさんあります。私たちが日常的に飲んでいるカフェのメニューも然りです。

私たちが今すぐ海外旅行に行くことは難しいけれど、ブレイクタイムにお気に入りのコーヒーを飲みながら、そのコーヒーの個性や生まれた国に思いを巡らせる、心の旅に出かけてみませんか?

この記事ではカフェで人気のコーヒーメニューの特徴や発祥国の文化を、国ごとにご紹介します。

コーヒー発祥の地①イタリア

エスプレッソ

エスプレッソといえば、イタリアを代表するコーヒーであることは日本でも有名ですね。

苦味の強さが特徴ですが、この特徴を引き出すために苦味が強くでる焙煎度の高い豆を使用しています。そして、その豆を粉状になるまで細かく挽き、高圧・短時間で抽出することで濃厚な苦味を持ち、雑味のないエスプレッソが出来上がります。

エスプレッソには「急速、急行」という意味がありますが、これは普通のドリップコーヒーに比べて高速で抽出することに由来します。

エスプレッソはイタリアの人々にとってとても身近な存在で、1日に何杯も飲むそうです。またイタリアで好まれている様々なコーヒーメニューのベースにもなっています。

因みにエスプレッソは雑味が溶け出さないよう短時間で抽出するので、1ショット(1杯)30mlと少量です。これに砂糖を加え、2,3口でぐいっと飲むのがイタリア流です。

カプチーノ

日本でも泡たっぷりのミルクが有名な飲み物、カプチーノ。エスプレッソ同様にイタリア発祥の飲み物で、ベースになるコーヒーもエスプレッソです。

カプチーノは、エスプレッソに温めたミルク(スチームドミルク)とクリーム状に泡立てたミルク(フォームドミルク)を同量加えて作ります。

日本ではシナモンスティックが添えられることがありますが、これはアメリカ流なのだそう。本場イタリアでは、ココアパウダーで味付けをするようです。

カフェラテ

カフェラテをはじめとして、「ラテ」が名前につくドリンクは日本のカフェでもよく見かけますよね。カフェラテもイタリア発祥の飲み物で、カフェは「コーヒー」ラテはイタリア語で「ミルク」を意味します。

コーヒーはエスプレッソをベースにするので、前述のカプチーノと似た飲み物ということになります。その違いはどこにあるのかというと、ミルクの使い方です。

カフェラテもカプチーノと同様に温めたミルクと泡立てたミルクを両方使いますが、カフェラテは温めたミルクを多く使い、カプチーノは泡立てたミルクを多く使います。

結果としてカフェラテの方がエスプレッソに混ざるミルクの量が多いので、カプチーノよりもマイルドな味わいになります。

イタリアのコーヒー文化

イタリア人にとってコーヒーとはエスプレッソ、そしてそのエスプレッソを飲むにはバールというお店の存在が欠かせません。

バールは日本でいうところのカフェですが、朝はエスプレッソがメイン、昼には軽食、夜にはアルコールと、イタリア人の生活に合わせて表情を変えます。イタリア人にはそれぞれ生活圏内にお気に入りのバールがあり、通勤時やランチ、仕事の後などに馴染みのバリスタが淹れてくれるエスプレッソを1日に何杯も飲むのだそうです。

バールの朝はエスプレッソを飲みに立ち寄る人が圧倒的に多い一方で、朝食をとる人もたくさんいます。その時は、パンによく合うカプチーノが好まれます。

ところでイタリアでは、午後になるとカプチーノやカフェラテなどミルクの入ったコーヒーを飲む習慣がなく、もっぱらエスプレッソだとか。そのため午後にミルク入りのドリンクをオーダーすると怪訝な顔をされることがあり、そもそもメニューに載ってないこともあるようです。

このような独自のコーヒー文化を持つイタリアには外国のコーヒーチェーン店も進出が難しかったようで、かのスターバックスコーヒーもイタリアに出店したのはつい最近の2018年です。

それもそのはず、イタリアのコーヒー文化の中心にはバールがあり、その店舗数は15万を超えるからです。これは日本のコンビニ総数の約3倍に相当します。イタリアの街に繰り出せば、きっとそこかしこにバールを見つけることができるでしょう。

コーヒー発祥の地②フランス

カフェオレ

フランス生まれのカフェオレは名前がフランス語に由来しており、カフェが「コーヒー」、オが前置詞、レが「ミルク」を意味します。つまり、コーヒーをミルクで割ったもの、コーヒー牛乳といったところでしょうか。

ベースになるコーヒーは濃い目に抽出されたドリップコーヒーで、これに同量の温かいミルクを足します。同じくミルクを足して作る前述のカプチーノやカフェラテはエスプレッソベースなので、その点が大きな違いになります。

フランスのコーヒー文化

凱旋門から放射線状に広がるおしゃれな通り、そこに軒を連ねるテラス席が開放的なカフェ。街にはセンス抜群のパリジェンヌやパリジャンが闊歩して・・・と、とにかくおしゃれなイメージが強いフランス・パリ。

そんなフランスのカフェでは、コーヒーといえばエスプレッソが主流です。飲み方もイタリアと同様、砂糖をたっぷり加えます。

日本のブレンドコーヒーのようなものはなく、コーヒーをオーダーするとエスプレッソが提供されます。

前述のカフェオレはというと、家庭での朝食に飲まれることが多いです。さらにいうと、カフェのメニューにカフェオレはないのです。フランスでカフェオレをオーダーすると、「カフェクレーム」という飲み物が提供されます。これはエスプレッソをミルクで割っているので、イタリアのカフェラテと同じような飲み物です。 

カフェオレはあくまでも家庭内で飲むもので、お店で飲むものではないようです。日本でのカフェオレはフランス発のカフェメニューとして有名ですが、現地との違いに驚きますね。

コーヒー発祥の地③アメリカ

カフェモカ

カフェモカとは、エスプレッソにミルクとチョコレートソースを足した飲み物です。チョコレートソースの代わりにココアを使うこともあります。

エスプレッソにミルクを混ぜるところはカフェラテに似ていますが、カフェモカにはチョコフレーバーをプラスするところが大きな違いです。

また、エスプレッソをベースにしていますが、イタリアではなくアメリカ生まれの飲み物です。トッピングにホイップクリームをたっぷりのせるあたり、とてもアメリカっぽいですよね。

「モカ」といえばアフリカ産のモカコーヒーが有名ですが、モカコーヒーがチョコレートのような風味を持つことから「カフェモカ」と呼ばれており、必ずしもモカコーヒーを使っている訳ではありません。

カフェモカはチョコを使っていることから「モカコーヒー風味の飲み物」ということになります。

アメリカのコーヒー文化

日本にスターバックスコーヒーやタリーズコーヒーなど、いわゆる「シアトル系」と呼ばれるチェーン店をもたらしたアメリカ。

シアトル系とはアメリカ人が好む薄味のコーヒーではなく、濃厚なエスプレッソをベースにアレンジしたメニューを提供するコーヒーショップです。前述の「カフェモカ」も、シアトル系のメニューにあたります。

アメリカではシアトル系が絶大な人気を誇る中、今新たな流れがサンフランシスコを起点に起こっています。それはかつてよりアメリカ人が好んできた薄めでフレッシュな酸味を求める動きで、浅めに焙煎したコーヒー豆を使います。これは深めに焙煎した豆を使うシアトル系とは相反するものです。

日本に進出したチェーン店ではブルーボトルコーヒーがこの流れをくんだお店になります。この流れはアメリカの中で3番目の大きな流行であることから「サードウェーブ」と呼ばれています。

とはいえ広大な国土に多種多様な人種を抱えるアメリカでは、いろんなコーヒー文化が混在します。その混沌こそがアメリカ的ともいえます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。コーヒーという同じ飲み物ひとつとっても、国によって味の好みからカフェの形態まで様々ですね。あなたの脳裏に好きな国のカフェや街並みは浮かびましたか?自由気ままな旅行が楽しめる日がくるまで、想像力の翼を広げて心の旅を楽しみましょう。

文:Miwa

U2KANAYAのご紹介

静岡の自然豊かな場所にあるインダストリアルなカフェ『カフェユノートル』では、ここちよい時間と空間をご提供しています。ここで焙煎したコーヒーや米粉の焼き菓子を味わいながら、カフェを囲む庭園の緑や植物に癒されたり、会話を楽しむ人がたくさん訪れています。併設の『アンライフbyユノートル』では、観葉植物やファッション・インテリア雑貨を販売。健やかに、優しく、豊かな日々を。そんな”ローカルだからできる”日々の豊かさがある暮らしを、これからもユノートルは提案していきます。

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