「風を感じる部屋にしたいな」インテリア雑誌をパラパラとめくりながら、彼女は考える。
少し前までは、ゆるりとした音楽が流れるカフェで過ごしたり、友だちとお酒を飲みながら遅くまで語りあったりするのが楽しかったけれど、近ごろはなんだかしっくりこない。世の中の移り変わりのせいなのか、歳を重ねたからなのか。
季節がすすむごとにカーテンを替えてみたり、窓からさす光の角度をみながらテーブルを移動させてみたり。目の前の景色を変えながら、家で過ごすことが好きになっていた。
花を飾ることも習慣になった。棚にうっすらと積もっているホコリをふき取ることも。それまで食べることと寝ることがメインだったこの部屋が、私だけのサンクチュアリになっていく。
窓を開けると前髪がゆれて、部屋の奥まで新しい空気が駆けぬける。なんて気持ちのいい瞬間。もう少し、風を感じるカフェのような空間にできたら……。
そんな彼女が見つけた、ゆれるオブジェのあれこれ、よかったらのぞいてみてください。
モビール
モビールとは、紙やプラスチック製の軽いものを、糸やテグス、針金につけて安定させたオブジェのこと。鳥や蝶、風船や飛行機をモチーフにして空を見上げるようにコーディネートしたり、本物の葉っぱやハーブ、どんぐりや木の実を吊るして、家の中に季節を取り込んだりするのもおすすめです。
ヒンメリ
雑貨屋さんやSNSで目にするようになったヒンメリ。そもそもの意味は?と思って調べてみると――
ヒンメリ(himmeli)はフィンランドの伝統的なヨウル(joulu)の装飾品である。藁に糸を通し、多面体を構成したら、最後にそれらを繋ぎ合わせて吊るす。別名「光のモビール」。himmeliの語源は、スウェーデン語のhimmel(天)から。
引用:Wikipedia フリー百科事典
ヨウル(joulu)とは、クリスマスのこと。実は歴史が古く、フィンランドでは1150年頃に生まれたというから驚きです。藁(わら)のつなぎ方によって大きさもカタチもさまざまで、自分好みに手作りする人も。風にふかれてキラキラとゆれる姿は癒しそのもの、ずっと眺めていたくなります。
ガーランド
本来は「花輪、花冠」という意味のガーランド。三角形の旗をたくさんつなげたもの、と言うとピンとくる人も多いかもしれません。子ども部屋に飾るだけでなく、近ごろはキャンプなどのアウトドアシーンでも利用されていて、自然との相性もバッチリです。誕生日やクリスマスのようなイベント日だけでなく、普段からインテリアとして飾りたいアイテムのひとつ。紙や布で簡単に手作りできるのもうれしいポイントです。
植物
そもそも、植物は棚に置くもの、というのは思い込みだったと気づく、その名も「ハンギンググリーン」。マクラメという編みひもを植木鉢や花びんに固定して吊るすスタイルは、公園で木々を見上げているようで、なんとも心安らぎます。
プランターは重くてわれやすい陶器よりも、プラスチック製の軽いものや再生紙でできたエコ素材のものもあるので、積極的に利用したいところ。土がいらないエアプランツや、切り花をいけた花びんを吊るすのもすてきです。
風鈴
いわゆる「風鈴」という言葉から思い浮かぶあのカタチだけでなく、貝がらやシーグラスを糸でつなげたものも、ひと味ちがった風情を楽しめます。言うなれば、英語の「wind chime」という言葉がピッタリの雰囲気。海辺でひろった貝がらで手作りして目の前に飾れば、思い出と共にシャラシャラと鳴る音がBGMになって、リラックス効果ばつぐんです。
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彼女が見つけた、風を感じるアイテムのあれこれ。あなたもオブジェの力を借りて、ふわり軽やかに過ごしてみませんか。
あ、当の彼女は、どれにしようか迷っているようですよ。
文:KAORU