すきま時間に読書はいかが?知性が深まる読書の魅力と、手軽に読めるおすすめ短編集5選

皆さんは読書が好きですか?どれぐらいの頻度で本を読みますか?

読書好きにとって新しい本を手にしてそのページをめくるのは、新しい洋服に袖を通して出かけるのに似たような感覚があります。とてもワクワクする素敵な時間なのです。

一方世間では、近年ネットの普及の影響か活字離れ(書籍や新聞など)の話題をよく聞きます。残念なことに読書には、ネットの検索機能や動画配信のように、スピード感をもって正解や娯楽にアクセスすることはできません。

しかしながら読書は、文字や文章とじっくり向き合うことで読む者に知識と教養をもたらしてくれます。とはいえ大人も子供も忙しい今の時代、読書をする時間を確保することは難しいかも知れません。

それならば、暮らしの中に点在するすきま時間を読書に充ててみてはどうでしょうか?例えばひとりでのカフェタイム。リラックスして読むと集中できます。通勤時間や子供の習い事の待ち時間なども、継続して続けられるのでおすすめです。

ここでは読書の魅力と、少しの時間でも楽しめるおすすめ短編小説をご紹介します。

読書から得られるもの

世の中に活字があふれる中、読書だからこそ得られるものとはどんなことでしょうか。人は小説からは物語の内容を、ハウツー本からは方法を、専門書からは専門知識を得ようします。

しかしながら、似たような結果はネットからも得ることができます。それも迅速に。片や読書は時間がかかります。ところが、時間をかけて読むことこそが、読書の価値でもあるのです。

本は単に結論や正解を示すだけではなく、そこに至るまでの経緯を順序だてて示してくれます。読む側の私たちも、そこを含めて知りたいという姿勢をもって本を手に取ります。結論だけでなくそこに至るプロセスを求めて熟読することで、より多くの知識を吸収できるのです。

おすすめ短編集

また一般的な本は、著者や出版社が責任をもって執筆・編集しているので、内容の質がそれなりに保証されています。本を読むことは、良質な情報にアクセスすることでもあるのです。

短編小説は少ない文字数の中に内容が凝縮されているので、限られた時間でも物語の世界を楽しめます。 ここではテレビドラマや映画で話題になった、馴染みのある小説や作家さんの作品をご紹介します。

かばん屋の相続/池井戸潤

「半沢直樹シリーズ」や「下町ロケット」でおなじみの、池井戸潤さんの短編集。筆者自身が元銀行員であった強みが存分に生かされた、信用金庫の融資に絡む短編6編が収録されています。

特に表題作は、京都で実際に起こった老舗のかばん屋の相続争いから着想を得たといわれています。それゆえ当時の騒動を知る方にとっては親近感のわく作品かも知れませんね。話の発端こそ実話がもとになっていますが、その後の展開は作者のオリジナルであり、その世界観を存分に味わうことができます。

全編ともに銀行と中小企業の融資を軸にしながらも、そこに関わる人々の人生や感情が細やかに織り込まれ、銀行の内部事情に詳しくなくても充分読み応えを感じられる作品です。

探偵ガリレオ/東野圭吾

東野圭吾さんといえば、直木賞受賞作で2008年に映画化された「容疑者xの献身」が有名ですよね。その原点になるのがこの「探偵ガリレオ」であり、後に続く10シリーズの第1作目の短編集です。

警視庁捜査一課の草薙は、不可解な難事件が起こると、友人の天才物理学者・湯川のもとを訪れます。このクールな天才物理学者は最先端科学や専門知識を駆使して謎の解明に挑むのですが、どのような結論を導き出すのでしょうか。

普通の暮らしの中では想像がつかない現象がテーマになっており、誰でも引き込まれる内容ですが、電気工学の学歴やエンジニアの職歴を持つ筆者ならではの知識がふんだんに盛り込まれているので、理系の方は特に楽しめるかもしれません。

阪急電車/有川浩

阪急電鉄の今津線という路線を舞台に、乗り合わせた人々のふれ合いや、そこから生まれた恋や人生の岐路・決断などが、清々しく描かれた連作短篇集。各章の主人公が話の中で他の登場人物とリンクし、それが次のストーリーに繋がる形で展開していくので、短編集でありながら全体の繋がりを感じられる作品となっています。

2011年には映画化もされています。読む人の心にすっと入ってくるような筆致が心地よく、主人公と年代が違えど共感したり、若かりし頃の自分と重ねたり、また程よくローカルな風景を思い描いたりと、読書ならではの創造の世界が広がる作品です。

読後の後味がとてもすっきりしているので、ポジティブな気分になりたい時におすすめです。

号泣する準備はできていた/江國香織

独特の言葉選びが特徴的な、江國香織さんの短編集。直木賞受賞の表題作を含む12編が収録されています。

全編ともにごく普通の日常の中で、主人公の女性たちのどこか器用に生きられない様にフォーカスし、丁寧で繊細な言葉をもって、上手く説明できない主人公の心情や在り方を描き出しています。読者自身が主人公に重なる面を持つならば、作者に自分の心を読まれているような感覚に陥るかも知れません。

表題作は、そんな物語たちを代表するような作品です。どの話も生活の一部を切り抜いて書いたようなイメージで、結論や今後の展開がはっきりしないまま余韻を含んだ終わり方をしています。そのため、物思いにふけりたい時や自由に考察を深めたい時におすすめです。

短編工場/オムニバス形式

読みたいものが決められない時におすすめしたいのは、12人の作家さんの短編が収録された「短編工場」です。いつも読んでいる作家さんの意外な一面や初めて読む作家さんなど、新たな出会いが期待できます。

この短編から筆者の強みや凄みまでは読み取れないかも知れませんが、言葉や文章との相性など今後の本選びに役立つと思います。程よい長さでテンポよく読めるので、移動や順番待ちの時間におすすめです。

さいごに

読書の効果は、すぐに結果がでるような即効性のあるものではありません。自分を木に例えるならば、立派な果実を育てるための土壌の栄養分のようなものだと思います。

もしあなたに何となく過ごしている時間があるならば、自分という木をより豊かに育てるために読書をしませんか?

文:Miwa