コーヒー好きにとってカフェタイムは極上のリラクゼーション。店であれ家であれ、自分にしっくりくるコーヒーと過ごしたいものです。でもコーヒーの種類はよく分からないからいつも同じものを選んでしまう、そんな方も多いのではないでしょうか。
コーヒー豆にはたくさんの種類があり、それぞれ特徴があります。それに加え、焙煎の加減でも味が変化します。それゆえ選択が難しいと感じるかも知れませんが、自分の好みをベースに考えれば以外と簡単です。
ところで自分はどういう味が好きなのでしょうか?そもそもコーヒーの味とはどういうものなのでしょうか。
コーヒーの味のこと
コーヒーの味は、主に苦味、酸味、コク、香りという指標で表されます。コーヒーのプロであればその中に甘さや、フルーツや花のようなフレーバーを感じとり多角的に銘柄を選定できますが、残念ながら一般人にはそこまで分からないのが現実です。となると、苦味と酸味のどちらを重視するかが最初の選択肢になってくると思います。ここでひとつ意識したいのは、酸味についてです。
酸味というとお酢のような酸っぱさを想像しがちですが、そうではありません。コーヒーの酸味は、果実のようにフルーティでさわやかなものを意味します。これはコーヒー豆自体がコーヒーの実の種子であることに由来しているからです。ではあまたあるコーヒー豆はどんな味がするのでしょうか。
カフェやショップでよく目にする身近な銘柄を、テイストごとにご紹介します。
苦味・酸味のバランスが良いコーヒー豆(主に中南米産)
■ブルーマウンテン
苦味、酸味、コク、香りなど全てにおいて秀逸であり、調和のとれた逸品。ジャマイカのブルーマウンテン山脈のごく限られた地域で栽培される、希少な品種です。
豆の等級はNo.1からNo.3までありますが、ストレート(その豆100%)にはN0.1が使われます。「ブルーマウンテンNo.1」と銘打った商品であれば、ブルーマウンテン100%と考えてよいでしょう。No.2~No.3はブルーマウンテンブレンドとして、他の豆とのブレンドなどに使用されています。
■ブラジル
世界のコーヒー生産量No.1を誇る、ブラジル産のコーヒー豆。苦味や酸味、香り、コクのバランスが良く、コーヒーのスタンダードと称されています。そのため、他の豆との比較の基準やブレンドのベースなどに幅広く使用されています。
等級はNo.2が最高級で、No.1は存在しないそうです。「ブラジル」という銘柄もメジャーですが、サントス港から出荷される「ブラジルサントス」も有名です。
■コロンビア
世界のコーヒー生産量No.3(2019年)を誇る、コロンビア産のコーヒー豆。ブラジルと同様にバランスに優れ、そのクセのない味わいはマイルドなコーヒーとも呼ばれています。他の豆とのブレンドのベースとしても好まれています。
等級は豆の大きさで決められ、最高等級のコロンビア・スプレモはスペシャルティコーヒーにも使用される逸品です。同じく最高品種として有名なエメラルドマウンテンもコロンビア産です。選び抜かれた希少な品質の豆にのみ、コロンビアを代表する宝石エメラルドの名を冠することがゆるされています。
■グアテマラ
中米を代表するコーヒー豆の産地、グアテマラ。苦味と酸味のバランスがよく、とりわけ果実のような酸味と甘い香りが特徴的です。スペシャルティコーヒーの栽培をする農家も多く、高品質なコーヒー豆の産地であることがうかがえます。
グアテマラでは生産地の標高が高いほど高品質な豆ができるとされおり、等級は生産地の標高で決まります。最高等級はSHBで、「グアテマラSHB」と銘打って販売されています。
酸味が強めのコーヒー豆(主にアフリカ産)
■モカ
モカは、中東のイエメンにあるモカ港から出荷されたことにちなんで名付けられました。フルーツのようなさわやかな酸味と甘く強い香りが特徴です。苦味は控えめなので、口当たりがやさしく、後味がすっきりしています。
対岸にあるエチオピア産のコーヒー豆も同じモカ港から出荷されており、エチオピア産はモカシダモ、イエメン産はモカマタリと呼ばれておりどちらも有名です。エチオピアはコーヒー発祥の地と言われているので、モカは世界最古のコーヒー豆ということになります。
■キリマンジャロ
アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ地域で栽培される、アフリカを代表するコーヒー豆。アフリカの大地を思わせるような強い酸味と芳醇な香りが特徴です。産地がタンザニアであることから、タンザニアコーヒーと呼ばれることもあります。
同じ酸味を持つモカと比べると、モカのやわらかな酸味に比べてキリマンジャロにはしっかりした酸味があります。苦味は控え目ながらもしっかりとしたコクがあり、今も昔も人気のある銘柄です。
苦味が強めのコーヒー豆(主にアジア産)
■マンデリン
インドネシアのスマトラ島で栽培されるマンデリンは、かつてマンデリン族が栽培を始めたことにちなんで名づけられました。マンデリンは重みのあるコクと苦味を持ち、飲みごたえのあるコーヒーです。酸味は控え目なので、とにかく苦いのが好き!という方におすすめの銘柄になります。
同じインドネシア産のコーヒーではトラジャも有名です。マンデリンと同様にコクと苦味が特徴ですが、マンデリンに比べるとやや苦味がまろやかになります。
あわせて知っておきたい「焙煎」のこと
コーヒーは生豆を焙煎することで、独特の香りや風味が生まれます。焙煎の度合いは8段階に分かれており、浅煎りは酸味が強く、深煎りになるにつれ苦味とコクが増します。
【浅煎り】
- ライトロースト
- シナモンロースト
【中煎り】
- ミディアムロースト
- ハイロースト
【深煎り】
- シティロースト
- フルシティロースト
- フレンチロースト
- イタリアンロースト
一般的なカフェやショップで提供されているのは、中煎りであるハイローストがほとんどです。深煎りのうちフレンチローストはカフェオレやカプチーノに、シティロースト・フルシティロースト・イタリアンローストはエスプレッソに適しています。
深煎りのゾーンに入ってくると、商品名にローストの記載がされている物もあるので知っておくと豆選びの参考になります。苦味の少ない豆を選んだのに深煎りだったため苦かった、なんてことにならないように焙煎度もあわせてチェックして下さいね。
奥が深いコーヒーの世界
一歩足を踏み入れると、とても奥が深いコーヒーの世界。自分の好みをベースにテイストの近い豆を選んでみたり、焙煎度を変えてみたりと、是非たくさんのコーヒーと出会って下さいね。
どの豆からも、インスタントとはまた違った自然の風味や力強さが伝わってきます。それはきっと、皆様のカフェライフをより心満たされるものにしてくれることでしょう。
文:Miwa