スマホで写真を撮るのは、もはや息をするようなもの、という感じの現代ですね。いやむしろ『写真を撮る』という感覚ですらないのかもしれません。というのも、メモをするような目的で撮影することもよくありますよね。
そんな流れで、動画を撮ることも特別ではなくなってきました。
ペットやこどもの動画など、SNSを中心に溢れていますし。子どもの発表会や運動会にかつてはハンディカムとか、さらに古くは8ミリビデオなんかでお父さんが頑張って撮影したものですが、今や普段持ち歩いているそのスマホでパッと撮れる。
最近では『TOKYO2020』の開会式の選手団の入場のとき、各国選手がもれなくスマホで撮影していた風景が印象的でした。
さて、そんなハードルの下がった感のある動画撮影。 『素人のスマホ』vs『プロの高額機材』か、みたいな二項対立から、初心者も動画を生業としている人でも使える中間的なカメラが増えてきました。
たまたま私が『SONY ZV-1』を所有していたので、実際のところどっちがいいのか?という比較をしようとしたところ、SONYが『ZV-1』の後継機と謳う新カメラをリリースしたので、急遽、3機種比較をしてみることにしました。
ちなみにこちらは、カメラ好きやガジェット通な方には「そんなん知ってるわ!」って感じのユルい基準の話をしていますことを、ご承知おきくださいませ。
iPhone vs ZV-1 vs ZV-E10
ちなみに、ZV-E10はまだ発売されておらず、発表段階なので(2021年9月17日発売予定)もちろん実機はないのですが、SONY公式サイトを始め、カメラ系Youtuberさんたちの先行レビューなどがいくつかあるので詳しくはそちらを参照ください。
では順番に行ってみましょう。
① iPhone(iPhone 11 Pro Max)
2021年7月現在、一つ型落ちなのですが、11 Pro Maxを使っています。 これに機種変したきっかけはまさにカメラ機能。これひとつで写真も動画も大概撮れるじゃん、という目的で購入しました。2019年9月の発売。
それまでカメラを散々各社検討していたのですが、やっぱり「重いと持ち歩かないんだよな…」というのが踏ん切りがつかない理由のナンバーワンでした。
そんな折に発売されたiPhone 11 Pro Max。 写真の品質は毎回新機種が出るごとにアップデートされていくのはわかっていたのですが、テスト機を触った時に、動画がとにかくきれいなことに驚きました。
11 Pro Maxは、サイズが大きくさらに厚いのでその分重い(226gなので、500mlペットボトルの半分ちょい飲んだやつくらいですね…)。寝がけに仰向けで見ていてうっかり無防備に顔面に落としたら、歯が折れるか鼻が折れるか、いずれにしても殺傷能力半端ないです。
私は受け身ができているので(威張ることじゃない)、今のところ幸いどこも折れてませんが、息が止まるほどの痛みです。
でもこれ、出たばかりの頃は3つ目のカメラレンズが「装甲騎兵ボトムズと完全一致」と言われたりしてましたっけね。すでに懐かしいですね。
私も集合体があんまり得意じゃないので、じっとみてるとちょっと辛い…ということで、それまでは白っぽい機種を選んでいたのが、11に機種変する時は目立たないよう初めて黒を選んだほど。
余計な話が長くなりましたが、動画の話を文字で説明するのがかなり不毛であることに今気づきました。さらに長くなる予感しかしませんが、気にせず参りましょう。
iPhone 11 Pro Max、ジンバル超えの手ブレ補正がすごすぎる
iPhone 11 Pro Maxの画質がいいとかは知ってると思うのですが、何がすごいって、手ブレ補正。
ちょっとやりすぎなんじゃないかっていうくらいの滑らかさです。
↓この動画(手ブレ補正がすごすぎるところから再生されます)でご覧いただきたいのですが、これ、普通に手に持って、ガンガン歩いてるんですよ。
決して能や狂言みたいなすり足とかしてません。無神経なまでにドタドタ歩いてるんですけどそれでこの上下ブレのなさ。驚愕です。
※画像をクリックするとYoutube動画が再生します
iPhone 11 Pro Maxでは光学式手ブレ補正を採用していて、それってなんだ?って言うと、まあ長くなるし難しくなるので割愛しますが、とにかくすごいテクノロジーの結果、こんなすごいことになっているんですよ。全然説得力ないですね。
気軽に動画を撮ってみると、再生してみると想像以上に手ブレって気になるもんです。最初にぶつかる壁ってそこじゃないですかね。
デジタル一眼カメラとかで動画を撮るときは必ずジンバルというものを使います。
これを使うとカメラを浮いたような状態で保てるので、人が持ったり動いたりなどの振動を限りなくカメラに影響させず、手ブレしない動画を撮ることができます。
検索してたらなんかすごいのも出てきた。。 CMとかもうちょっと大掛かりな撮影だとこんなのを使うんでしょうね。ちなみにこれもAmazonで買えます。。
iPhone 11 Pro Maxで動画を撮るときは、手ブレの心配がほぼないので私はManfrotto(マンフロット)のミニ三脚とスマホホルダーをセットにしてグリップとして使っています。
↓その様子はこちらから
※画像をクリックするとYoutube動画が再生します
別売りですが、それぞれあるととっても便利。
もうちょっとお安いのもありますが、買ったばかりの3年分割払いのiPhone 11 Pro Max(トータル16万くらいする…まだ分割払い中)なので、万が一落ちたりなんかしたら洒落にならん…ということでちゃんとしたカメラ機材メーカーのものを買った記憶があります。
〈iPhone 11 Pro Maxを使うメリット〉
・スマホはだいたいいつも持ってるので、撮りたい時にすぐ撮れる
・良くも悪くも設定がないので、カメラ起動後すぐに撮り始められる
・鮮やかでくっきり撮れる、ピント外れなどの失敗がない
〈iPhone 11 Pro Maxを使うデメリット〉
・電話やメールが来てしまうかもしれない
・撮影中スマホを使いたいと困る
・バッテリーを使いすぎて肝心な時にスマホが使えなくなると困る
② VLOGCAMという新ジャンルで売り出した、SONYのZV-1
そんなわけでiPhoneで動画撮影ってそれなりに満足していたのですが、iPhoneってこれ、実は電話なんですよね(みんな知ってる)。
なので、思いがけず電話がかかってきたりメールが来たりしちゃうわけなんです。あと、撮影中にスマホが使えないって結構不便だな…ということも何度かあり。
動画撮影中に「あれ?スマホどこやった…?あ、これか!」みたいなことも少なくないです。波平さんのメガネ状態。
そんな2020年9月に発売されたのがこちら、SONYの『ZV-1』。
引用:SONYwebサイト
当初EOS Kiss MかRX100かで迷っていた
iPhone 11 Pro Maxを買う前に検討していたのが、ミラーレス一眼か、コンデジか、というところでした。
それまでcanonのカメラを使っていたので、ミラーレス一眼ならEOS M か EOS Kiss M か、コンデジならSONYのRX-100シリーズ と思っていたのですが、ま〜あ、とにかく種類が多くて決められない!!もうやめて!シリーズ内でいっぱい出すのやめて!いっこにして!!!!
とヤケになっていた時に、RX100の流れを汲むフォルムのコンデジのジャンルである『ZV-1』の登場に、すべて解決。オールオッケー。いや、だからiPhone 11 Pro Maxにしたんじゃなかったっけ?という勘のいいあなたのツッコミはスルーして、こちらを購入。
VLOGCAMと言うだけあって、自撮りする人にものすごく向いてる仕様となっています。
私は自撮りはしませんが、『美肌モード』が複数段階でついていたり、顔を隠さなくても手前にあるものに自動でピントが合うという『商品レビューモード』があったりと、もはやyoutuber用のカメラ。
もちろん、自撮りしない人にも便利に使えます。ズームができるし、手ブレ機能も2段階で選べます。
↓まさかの手ブレ機能OFFで撮ってしまったトンチキ動画がこちらです…。
見事な小刻みな揺れをご堪能ください…。そう、こんな風になっちゃうんですよ。
※画像をクリックするとYoutube動画が再生します
ただ、手ブレ補正アクティブモードにしても、iPhone 11 Pro Maxの手ブレ補正には叶わないくらいだったりします。あれはやっぱりやりすぎだろう(褒めています)。
以前レンズ交換式のミラーレス一眼を使っていた時(初期のEOS Mです)、交換レンズを持ち歩くのが面倒だったり、そもそも重くて出かける時に迷った挙句「…置いていくか…」となって、結局持ち歩かなかったという過去があるため、ポケットに入るくらいコンパクトで軽いコンデジなら!と弾みがついたのもあります。個人の問題ですけど、結構大事ですよね、重量問題。女性は特に。
いきなり専門的な話になりますが、動画撮影の場合はシャッタースピードを固定する必要があるのですが、晴天の屋外で撮る場合、そのままだと明るすぎて画面が真っ白にぶっ飛んでしまいます。
そこで、『NDフィルター』という、カメラレンズ用のサングラスみたいなものをつける必要があるのですが、それが本体に内臓されているので別途買ったり、付けたり外したりという手間がないのもありがたいところです。
〈ZV-1を使うメリット〉
・コンデジなのであまり荷物にならず、軽くて持ち歩きやすい
・バリアングル、美肌モードなど、自撮りしやすい機能性
・NDフィルター内臓
〈ZV-1を使うデメリット〉
・小さい電池なので動画を撮ると消耗が早い
・手ブレ機能がiPhone 11 Pro Maxよりは弱い
・シャッタースピードとか動画撮影の知識がそれなりに必要
③ 満を持して、new VLOGCAM、ZV-E10が登場!
そんなこんなで、我ら“簡単に動画撮りたい勢”に第3の選択肢が現れました。
それが『ZV-E10』。
引用:SONYwebサイト
『ZV-1』と同じ「VLOGCAM」を冠して『ZV-1』の後継機的な扱いなのですが、こちらはコンデジではなく、レンズ交換式のミラーレス一眼。その証拠に『αシリーズ』にラインナップされています。
そんなこと言われても「は??」って感じだと思うので、とっても簡単にまとめるとこうなります。
ここからちょっとオタク気味なSONYのカメラの系譜の話になりますが、SONYのデジタルカメラには大きく3種あり
・デジタル一眼カメラ(αシリーズ)
・デジタルスチルカメラ(サイバーショットシリーズ)
・デジタルカメラ(VLOGCAM)
と、あります。
『ZV-1』を出す時に、サイバーショットシリーズのRX-100系のDNA(ボディ形状とかツァイスレンズ採用とか)を引き継ぎながら、VLOGCAMという新ジャンルとして発表したのです。
現にジャンルごとでサイトを見てみるとサイバーショットシリーズには組み込まれていません。
ですが、新しい『ZV-E10』はVLOGCAMジャンルでありながらレンズ交換式でEマウントである以上、『αシリーズ』に組み込まないと辻褄が合わん、ということなんでしょうね。いや、わからんわ!
諸々の事情は置いといて、これ、レンズ交換式なんですよ。
となるとそこそこ使うのに知識が必要。さらにレンズ交換式なので他のレンズがある人ならいいけど、なければ別途買うことになるし、レンズ何本も買う人はこれ使う…?
センサーサイズがAPS-Cなので『ZV-1』よりも高画質に撮れるのですが、αシリーズだったらα6400というほぼ同等スペックのカメラがすでにあるので、比較だけすると、うーん、これいる??と言う感じ。
でも多分これが今の時代感ってやつか、とも思うのですよ。
動画メインで、より動画に便利な機能を乗せて行ったα6400の動画特化版!て感じかなと理解しました。写真も撮りたいならファインダーがあるα6400、いや写真はそんなに撮らないから自撮りや商品レビューがしやすいとことんYoutuber向きカメラにしてよ!っていうオーダーに応えて(オーダーがあったかどうかは知らんが)出来た!って感じかなあと思ったりしました。
なので、『ZV-E10』は『ZV-1』の上位スペックというよりも、また別の選択肢といった印象です。
レンズ交換式で本体がとにかく軽いということで、αのエントリー〜スタンダードモデルを持っている人が買い換えるとか、ジンバルに乗せる専用で購入する人もいるかもしれませんね。
ちなみに私はα7ⅢユーザーなのでEマウントレンズもありますが(APS-Cレンズはないけど)これは使わないかな〜というのが個人の感想です。差別化しづらいですからね。
α7Ⅲ(フルサイズミラーレス)・ZV-1(コンデジVLOGCAM)という毛色のかなり違うカメラがあるので、その間くらいの機能なので今のところはいらないかなと。
動画を本当によく撮る人ならありですけど、現状そこまでではないかなと。
これは意外とSONY初の“フレンドリー”なミラーレス一眼?
最後に他社比較という目線で見ると、最初にカメラを検討した時に出てきましたが、EOS M か EOS Kiss Mに近い存在感かなと思いました。
というのも、女性が手軽に使えるいわゆる”ママカメラ”のポジションを揺るがないものにしたEOS Kiss M。OLYMPUSにはPENシリーズとかあるし、NIKONですら(ですらって言うな)カワイイ系ライン出しましたよね、この間。
SONYってこういうカワイイ好き層や女性にハマる、見た目もかわいげなライトユーザー向けミラーレス一眼カメラがなかった。ことごとくない。
なのでそういう層にもアプローチできるエントリーモデルのミラーレス一眼っていう立ち位置というのも意識してるのかな、とも思いました。その中でも、VLOGCAMというSONYならではのジャンルを打ち立てて他社との差別化を図ろうということですかね。
〈ZV-E10を使うメリット〉
・レンズ交換式なので画角やボケみなどこだわった映像を撮ることができる
・バリアングル、美肌モード、商品レビューモードなど、vlog向き機能がある
・ミラーレス一眼で動画始めたい人や、サブ機として小回りの効くカメラが欲しい人にぴったり
〈ZV-E10を使うデメリット〉
・iPhoneやZV-1よりは圧倒的に荷物が増える
・レンズ交換式なので、他のレンズが必要になる(欲しくなる)※SONYのレンズは割と高い
・それ、カメラ沼の入口かもしれないよ…
まとめ
自分で書いてて「手軽ってどこまでが手軽??」と混乱してきました。
まあiPhoneが手軽なのは圧倒的事実ですよね。そもそもiPhoneは、SDカードもバッテリーも交換レンズもなくいきなり”それなり以上”に撮れますからね。
それ以上はクオリティやこだわりをいかに取り入れたいかによって時間やコストとのトレードオフといった感じ。
機材を買ったからっていきなりすごいのが撮れるわけでもないので、構造の理解とか練習とかが必要になってくるわけですよ。それが沼の入り口なので安易には勧めませんが、ちょっと始めてみよう!と思った時にこういう安価で(ていうほど安くはないけど昔と比べたら雲泥の差)始めやすい道具が増えたって言うのはいいことですよね。
と、SONYのα沼に沈まないようにとダッシュしたつもりが、たくさんの諭吉を沈めてきた私が言えることはそれくらいです。
合間にちょこちょこ出てきた動画、改めましてこちらです。